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洋梨の豆知識

漢名:西洋梨
英名:European pear
“形は女神の乳房・果汁はビ一ナスの涙”
と称される果実

 西洋梨はヨーロッパで非常に好まれている果物です。見た目はちっとも美人では
ありませんが、食味がまろやかでこくがあり、豊かな香りはパリのロマンを感じさ
せる上品なフルーツです。
 また、ヨーロッパではこの世に存在する最も美しい果物として、その形は女神の
乳房やグラマラスな女性にたとえられます。そして、芳しい果汁はビ−ナスの涙と
も言われています。
【来歴】
 西洋梨の原産地はヨーロッパ中央部・地中海沿岸地方で、特にフランスにおいて
改良が進められて来ました。したがって現在我が国で栽培されている品種はヨーロ
ッパ原産のものが多く、輸入された品種の数は100種を超えていますが、主産地で
一般的に栽培されている品種はわずか数種にすぎません。
 日本に初めて西洋梨が輸入されたのは明治初年といわれ、当時国内の数県で試作
的に植栽が行われたのですが、その特性から適地は北日本の山形・福島・秋田およ
び長野・岡山などの諸県に限定されました。その中でも特に山形県においては立地
条件に適合していたこともあり、結実が良く品質にも優れた物が生産されることか
ら、県内各地で増殖されました。しかし第二次世界大戦当時には伐採された物が多
く面積も減少しましたが、戦後からは果実の需要増大と栽培技術の向上が相まっ
て、著しい新植を見ることとなりました.

【品種】
 早生種
○ブランデーワイン
 アメリカ原産で寒さに強い品種ですが、日本には明治の初めに導入され、主に北
海道で栽培されています。小型で淡緑色の果皮を持ち、甘さと酸味のバランスが良
く、完熟すると洋酒のような芳香があります。
○パートレツト
 原産はイギリスですが、世界各国で栽培されており、西洋梨の中でも知名度が高
い品種です。日本へは明治の初めに導入されていますが、果形はひようたん形で、
可食期になると肉質は柔らかくなり、舌触りと香りのよさが特徴の品種です。
 生食用のほか、缶詰やジャムなど加工用としてもよく使われています。
○マルゲリット・マリーラ
 フランス原産の品種ですが、樹勢が旺盛で、摘果をしないと技が折れるくらい豊
産性があります。果重は530gぐらいと大玉で、パートレツトを大きくしたような形
をしています。果肉は白色で果汁が多く、肉質も良いのですが果頂部に繊維質が残
るのがやや難です。爽やかな甘みと食味の良さ、そして日持ちも良いと言うことで、
有望視されている品種です。
 中生種
○ゼネラル・レクラーク
 古い塵史を誇る西洋梨が多い中で、フランスのパリ近郊で1950年に発見された新
しい品種です。日本には1977年に青森県畑作園芸試験場に、さらに1983年に果樹
試験場によって導入されています。9月下旬〜10月上旬にかけて成熟する品種です
が、コミスを母親に持っており、果肉はきめが細かくなめらかで、果汁も多く、そ
の上とても美味で西洋梨として人気が上昇中です。
○ラ・フランス
 フランス原産で1864年に発見され、明治前期に導入されました。形・外観共よく
ないものの、果汁が多く、香りよく、味よく、その品質の素晴らしさで「西洋梨の王
様」と形容されています。成熟期は10月中下旬で、11〜12月にかけて多く出荷され
ます。

 晩生種
○ル・レクチェ
 フランス原産で、19世紀後半に出来た品種ですが、日本には明治後期に新潟県の
小池左右吉氏によって導入されています。好適地であったことで今も新潟県で栽培
が盛んです。肉質はなめらかで、果汁が多く、甘みも強いことから品質面で高い評
価を受けています。その他にも食べ頃の見分けがつきやすい、日持ちが良いなどと
言った点もあり、西洋梨の中では最も注目されている品種です。
○ウインターネリス
ベルギーで19世紀初めに実生から選抜した西洋梨で、日本には明治の初期に導入さ
れました。いかにも冬場に食べると美味しそうな名前の通り、11月末〜翌年の1月
初めにかけてが食べ頃です。黄白色の果肉は、なめらかでバターのような舌ざわり
があり、果汁も多く、甘みも香りも素晴らしいものを持っています。
 その他品種
 中生種= (プレコース)(フレミッシュ・ビューティー)
 晩生種= (グランドチャンピオン)(シルバーベル)(パス・クラサン)
【選び方】
 西洋梨は果皮に傷のないものを選んで下さい。とてもデリケートな果実で、傷が
あると追熱中に腐ってしまう恐れがあります。
【食べ頃】
 西洋梨は、木に成ったまま熟するのを待っていると水分が抜けて味もなくなり、
ぼけてしまいます。ですから熟する前に収穫し、その後の予冷と追熟という過程を
経てようやく美味しく食べられるのです。
 一番の食べ頃を知るのが難しいのですが、手で触ってみて柔らかさを感じる頃が
よいでしょう。熟すと香りも強くなりますし、品種によっては果皮が緑色から黄色
く変わるのも一つの目安になります。

 最近は西洋梨もかなり一般的になってきていますが、果物店でも、その日の内に食
べ頃の物を販売すると言うより、家庭で追熟させ、食べ頃になるまで数日持ってもら
う転売が主になっていますので、食べる分だけ部屋の中に置いて追熟を進めると良い
でしょう。豊潤な香りも楽しめ−石二鳥の効果もあります。
【栄養価】
 西洋梨に多く含まれている果糖・ブドウ糖は、身体や脳の働きを助ける大切なエネル
ギー源となります。果肉が持つ豊富な水分は、肌や髪・爪等に潤いを与え、身体に溜ま
つた過剰な熱を冷まして、喉や気管を潤し、咳や扁桃腺炎など喉の痛みや糖尿病によ
る喉の渇きを抑え不足した体液を補う大事な役割を果たします。また、西洋梨の水冷
機能は、血圧を下げる効果があり、特にのぽせや頭痛を伴う本能性高血正に有効です。


※ こんなこと知っている?
 西洋梨は木の上では成熟しない特性があるので、未熟の内に収穫していったん1週
間ほど冷蔵した後、20度C前後で貯蔵して成熟させる“追熟”と言う方法をとります。
追熟させたものは、柔らかく・甘く・香りもよ<なり食べ頃を迎えます。
 出回り期は8月中句〜翌年の1月までの間、品種ごとに順番に登場します。多く出
回っているのは、フランス原産の「ラ・フランス」・「ル・レクチエ」・「マルゲリット・
マリーラ」・「ドゥワイヤンヌ・コスミ」、それにイギリス原産の「パートレット」、アメリ
カ原産の「ブランデーワイン」などです。

丸果石川中央青果梶@やさい・かじつの情報 平成15年12月号より